2010年2月9日に開催された IDC Japan株式会社主催

『Japan Storage Vision 2010』 での私 伊藤孝行の講演内容を

動画で公開しております。 講演動画はこちらへ


2011年05月20日

震災でクラウドに出来たこと

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  画像:IIJさんでのセッション開始の模様(撮影:著者)

今宵はIIJさんで開催された 『クラウド・VPS関係者と震災、何ができて何ができなかったか』 というセッションに聴衆として参加させていただきました。3.11の東日本大震災では、私自身は本業での支援は直接できず自宅マンションの自主防災組織リーダーとしての活動に留まりましたが、クラウド業界の皆様による震災支援についてはリアルタイムでtwitterのタイムラインで拝見していて感動したこともあり、参加させていただきました。

発災時クラウド・VPS業界で何が起きていたかと簡単に説明しますと、被災自治体や日本赤十字社・東京電力といったWebサイトがアクセス過多によってダウンしてしまう事態に、ミラーサイトといってオリジナルのWebサイトコンテンツを複製して、震災を受けて各社から無償提供されたクラウド・VPSサービス上に複製Webサイトを提供されたというのが主な活動だったようです。

ミラーサイトを立ち上げるには、もちろんサイトオーナー(=被災自治体や日本赤十字社・東京電力等)に承認を得ないと、著作権の複製権に抵触しますし更新情報の一致性という点でもリスクが伴うと同時に、サイトオーナーとしては後者を理由にミラーサイトを作ってほしくない、という可能性もあります。

そんな、取り決めも慣例も何もない中で活動が展開された 『私たちクラウド業界の技術者にできた、震災復旧支援』 を振り返るといったお題目でした。登壇されたのは、IIJの堂前さん、JAZUG(Japan Windows Azure User Group)冨田さん、JAWS-UG(Amazon AWS User Group Japan)の大石さん、さくらインターネットの田中さんでした。

講演の中で、いくつか気になったコメントはありましたが、一番響いたのは 『できなかったことを振り返り悔いるのではなく、今できることを大切にして取り組む』 という考え方です。それぞれの登壇者で色々なコメントがありましたが、一貫して言えることはこのとらえ方だと感じました。

私が普段プライベートで活動している大型マンションの自主防災組織活動でも同様のことを肌で感じています。先般も計画停電による騒動で自治会防災部による活動は多岐にわたり、ご支援や心無いクレームもありましたが、大切なのは 『現場に入って、できることを大切にして実行すること』 でした。

また、クラウド業界関係者としては上述ミラーサイト構築を主眼に置きそうですが、JAWS-UGでは 『ミラーサイト』をやらなかったそうです。彼らは 『キャッシュ』 と呼んでいましたが、 『提案:キャッシュやめませんか?』 という大胆なメッセージがスライドに書かれていていたりと、色々な角度からの振り返りと提言が行われました。

また、Amazon AWSを活用したサーバーワークスさんの 『爆速ホスティング』 サービスでは、こんな有事の際にでもクリック一発で構築できてしまうCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)パッケージが、日本赤十字社のサイト復旧に役だったことなどが取り上げられていました。

この『爆速ホスティング』 サービス、CDNって専門事業者がいらしゃる位なので難しそうな技術ですが、このサービスならクリック一発でコンテンツアップロード先のftpサイトアドレスが振り出され、そこにコンテンツアップロード。あとはDNSを書き換えるだけ。モノの一時間あればCDNのでき上がりで驚きます。こういったサービスが震災時には即効性もあって役立ちますね。

あとは、ミラーサイト(キャッシュ)については上述の課題がありますから、事前にクラウド事業者とコンテンツオーナーの間で、有事の際には締結契約内容の条件でミラーサイトを立ち上げることを事前了承する契約があればスムーズ、という提言もありました。

私は個人的に、自主防災組織リーダとして情報収集に困難を極めたことから、地方自治体や一定以上の公共性を有する民間組織(社会インフラ系、医療関係)については法律でこのことを定めても良いのではないかと感じています。今回の震災は 『想定外』 のラッシュでしたが、地震大国日本、しっかりイメージすればかなりの範囲は 『想定内』 に出来たはず。

そして、クラウドサービスが充実してきた昨今、そんなにコストを投入しなくてもミラーサイトやCDNによるアクセス過多への対処は容易にできる訳です。課題はそういう事態を想定できる知識があるかということと、容易に解決する手段が存在するということ。これは、我々ITの業界が今後もっと強力に啓蒙・提案していかなければなりませんね。

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  画像:IIJさんご提供の軽食を囲んで懇親会(撮影:著者)

なんと今回は、IIJさんのご負担で軽食とお飲物を頂戴することができました。登壇者の方と談笑しなからビールを頂いたり、twitterではおなじみながらもお会いしてみたかった方との名刺交換など、業界人脈を広げる上ではとても良い機会となりました。

引き続き、ワインやカナッペを頂きながらライトニングトークも聞かせて頂きました。一番興味があったのが、ソフトバンク モバイル 高橋さんによる移動携帯電話基地局のお話。私も個人的に無線とは縁があるので、発災直後twitterタイムラインで高橋さんが移動ルートを神奈川にいらっしゃる別の方とtwitterでやりとりしながら現地へ向かう様子を拝見していただけに興味深々でした。

一般的な携帯電話移動基地局はトラックタイプだったのですが、ソフトバンクさんではミニバンタイプの基地局を企画され震災時に状況の悪い道路でも移動できるように、と3.11以前から用意されていたそうです。そして、陸運局でまさにナンバープレートが発行される間際に3.11が発災。陸運局の職員さんも用途が用途なだけに、優先的にナンバープレートを発行してくださりその足で準備〜被災地入りしたとのこと。なんともエキサイティングな話です。

最近、こうしたユーザーグループの集まり的な場に足を運ばせていただくようになりましたが、今回のスタイルも素晴らしかったですね。少しビールやワインを頂きつつライトニングトークをお聞きすると、登壇者も聴く側もリラックスして質疑も活発になり笑いもありで場が盛り上がります。私もいつかこんな場をご提供できるような立場になれればと感じながら、家路につきました。

今回の場をご提供頂いたIIJの小川さん、さくらインターネットの田中さんにこの場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。

当日の資料等はこちらからご覧いただけます。



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2011年05月13日

データストレージEXPO 2011

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  画像:ニューテックブースで展示したInfiniBandストレージソリューション(撮影:筆者)

今年の我が社ニューテックのデータストレージEXPOブースでは、私もブースの一部を企画担当させて頂き、メラノックステクノロジーズ インク様とテクノグラフィー株式会社様各社のご協力のもと『InfiniBandストレージソリューション』をご紹介させて頂きました。

これまでのInfiniBandはHPCかスパコンのネットワーキングというイメージでしたが、今年に入ってからクラウドサービスへの活用について急激にニーズが高まっています。これは、今年に入ってからInfiniBand QDR 40Gbpsの規格がローコストで利用できるようになったこと、クラウドサービスが仮想OS環境下で非常に集積度が高まった結果、広帯域・低レーテンシのネットワーキングの必要性が高まった事からと思われます。

今年に入ってから、VIOPSという仮想インフラ構築に関わっていらっしゃる皆様のユーザグループに関わらせて頂き、『是非InfiniBandネイティブストレージソリューションを供給して欲しい』と言うご要望にお応えして、急遽今回の出展にも間に合うようご覧の様な三種類のInfiniBandネイティブストレージソリューションをご用意しました。

写真中央が、最高速スループットをご提供出来る、InfiniBand SRP(SCSI RDMA Protocol)製品『SolidPOWER7000』シリーズです。ディスク48本構成時で、InfiniBand QDRを二本利用して実に5,700MByte/secを実測。Mbitではありませんよ、『MByte』です!

単にInfiniBandの帯域利用だけでは無く、非同期パラレル転送と言うオリジナル転送方式をファームウェア上で実現しているからです。このシステムは、先の南アフリカ サッカーワールドカップのハイビジョン映像編集ワークステーション用としても採用されましたので、信頼性・実績の点でも自信作です。

右側が、InfiniBandネイティブNASストレージです。NASヘッド部に必要な枚数のInfiniBand カード(HCAと言います)を搭載し、InfiniBand上でIPの通信を行います。具体的には、iSCSIやNFSでご利用頂けます。こちらの実測スループットは400MByte/secですので、これ迄の1Gbit Ethernet環境のNASより一桁早い速度を享受頂けます。

左側は、InfiniBandゲートウェイ『Mellanox社製 Bridge-X』です。つまり、既存のFC接続ストレージをこの機器を経由して、InfiniBandネットワーク網へ接続する事が出来ます。既存設備の有効活用も可能と言う訳です。

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  画像:ニューテックブースの様子(撮影:著者)

気になる現場での用途ですが、主に仮想OS環境下でのバックアップ高速化のご要望が多いですね。仮想OS環境による例えばVPSサービスの場合、一ゲストOS毎のディスク容量は数十GBと体した容量ではないので、サーバー内蔵ディスクで主に運用されます。一方、そのデータのバックアップを行う場合、多くのゲストOSから同時処理でデータ転送が必要になります。

上述のように転送レートが従来型ストレージより一桁向上すれば、例えば60分掛かっていたバックアップJOBが6分で完了する訳で、二桁向上すればさらに1分未満で完了する事になります。VPSサービスでは、バックアップ並列実行中のサーバー性能低下が課題になってきており、この短時間処理はとても魅力的なストレージソリューションとなり得ます。

会期中三日間ブースに立たせて頂きましたが、私が普段新規開拓先としてお邪魔させて頂いている各データセンタ事業者様も全ての事業者様がご来訪頂け、とても熱心に質疑が交わされました。

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  画像:省電力1ペタバイトストレージ動態展示(撮影:著者)

今回の展示会全体では、入場者数昨年対比102%との事でしたが、我が社ニューテックブースでは昨年対比122%のご来場を頂きました。今回の記事で紹介させて頂いたInfiniBandネイティブストレージソリューションのほか、災害対策ストレージソリューションや省電力ストレージソリューションにも多くのご関心が集まりました。

ご来場頂きました皆様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。また、これらストレージソリューションにご興味が御座いましたら、私宛にお気軽にお問い合わせ下さい。

posted by ハリー伊藤 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレージ業界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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