2010年2月9日に開催された IDC Japan株式会社主催

『Japan Storage Vision 2010』 での私 伊藤孝行の講演内容を

動画で公開しております。 講演動画はこちらへ


2009年12月18日

プロっぽく 『削る』

DSCN1082.JPG

プロ音響の世界では、音の要素を 『削る』 ことによる品質向上策があります。一般人からしますと、音を良くするには低音を 『増やしたり』 音量を 『増やしたり』 と、要素を 『プラスする』 方向が思い浮かびますが、プロは正反対で 『削って』 音質の安定化と品質向上を行います。

私もPA(PublicAddressing)すなわちプロ音響に手を出してから、この 『削る』 という理論に戸惑いと驚きを感じました。ちょいと昔のミニコンポなどでは、 『グラフィックイコライザ』 といって高音・中音・低音よりも細かく音質を操作できる機能を持っているものがありました。私は無意識に低音部と高音部を 『プラスして』 聴感を良くしていました。

上の写真で、下の段に置かれている黒い機械が 『グラフィックイコライザー』 でありまして、ツマミが一杯あるのがお判りいただけると思います。これは高音・中音・低音ならば3つのツマミですむのですが、このマシンは実に31の音域にツマミが分かれていて調整ができます。

つまり、音の周波数帯域(音の高低は周波数で示すことができます)を31分割して調整できるのです。それでなにをするかというと、不要な周波数帯域を 『削って』 いくのです。具体的にはマイクの音量を上げすぎると 『キーン』 と鳴ってしまうハウリングをわざと起こして、その周波数帯域をすこしずつ削っていきます。

ハウリングが起きやすい周波数というのは、その現場の音場で無用に共鳴しやすい音域でもあったりしますから、こうして音を 『削って』 いくと単にハウリング抑止の環境ができるだけでなく、全体の音が締まっていきバランスがよくなって聴きやすい音になっていくことが実感できます。

最初、私はこの理屈を理解できていなかったので、単にハウリング抑止のためにこの作業をしていったのですが、最後にとても締まった音になったことに大変驚きました。もちろん、それぞれの音場で全体のバランス上不足している帯域を少しブースト(足す)こともありますが、基本的にはごく僅かです。

音質の調整だけではなく、本番の演奏時にも 『削る』 ことによるバランス調整法が鉄則です。たとえばボーカル、ピアノ、ペースのバンドであれば、ボーカルが聞こえ辛いからボーカルの音を上げるのではなく、ピアノ・ベースを 『削って』 バランスをとったりします。削らずに足すだけですと、ハウリングしてしまったり全体の音が大きすぎてそれぞれの 『像』 がぼやけていきます。

アマチュアのロックバンドが決まって(失礼!)ボーカルが聞こえ辛くギターが大きすぎて、という現象はこういうテクニックの不足と、ギタリストが周りのパートとの音のバランスを良く気にせずに、自分の大音響に陶酔しているからだったりします。

そんなわけでPA分野での 『削るプロテクニック』 にひとしきり感心しながら 『アマチュアPAオペレータ活動』 に取り組んでいます。 『足す』 のではなく 『削る』 考え方と周りとのアンサンブルを気にしながら業務遂行することは、あらゆる仕事に通じることではないでしょうか。私自身、本業のIT提案業務においてもこの理論が最近役立っています。



posted by ハリー伊藤 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 音響関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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