2010年2月9日に開催された IDC Japan株式会社主催

『Japan Storage Vision 2010』 での私 伊藤孝行の講演内容を

動画で公開しております。 講演動画はこちらへ


2012年12月23日

引き算の技術

先日、自宅マンション自治会恒例のクリスマス催事をお手伝いしてきました。今年は子供の部のみの構成で、自宅マンション内でピアノ教室をされている先生の生徒さんによるピアノとハンドベルの発表会。約30組の発表で、クリスマスにちなんだ選曲でなかなか盛り上がりました。

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防災部長としての私の役割は、司会進行役とPA(音響機器)オペレータです。上の画像がそのコックピットですが、今日の話題はそのPA機器で感じた事。

一番上の機器は、「ミキサー」といってマイクやBGMの音を混ぜて(ミックス)音量や音質のバランスを取る機器です。その下にあるツマミが一杯あるのが「イコライザー」という音の周波数別に音質を制御する機器。何が「引き算」かというと、このイコライザーでのオペレーションについてです。

一時期からラジカセ(死語?)にも付くようになったイコライザー。いわゆる「音質」ツマミよりももっと細かく音質を設定できるものとして民生機器にも浸透しました。カーオーディオの方が浸透しているかもしれませんね。そしてこのイコライザー、民生機器では足したい音域を「足す」という手法。つまり低音を足したければ、低域のツマミを持ち上げるやりかたです。

一方業務用のPA機器では、ツマミが画像のようにとてもたくさんある=周波数帯を細かく制御できる一方、使い方は不必要な音域を「削る」という使い方をします。これは、マイクをスピーカーに近づけ過ぎた時に「キィーン」「ブォーン」と嫌な音がする「ハウリング」を抑制することが主な使途であるため。

もちろん、スピーカーにマイクを近づけ過ぎればハウリングするのは当たり前なのですが、離している場合でも必要な音量に上げていくとハウリングが発生してしまうのでこのイコライザーで調整します。機器を設置するハコ(箱:会場のことです)によって、音場特性が様々で無用に低域等が強調されたりする状況がまちまちなので、イコライザーを使って調整します。

そのやりかたは、わざとハウリングが起きる音量まで上げておいて、イコライザーの周波数の一部を何デシベルか「下げて」=削って、バランスを取っていきます。ツマミひとつひとつが「音域」に充てられていて、このツマミがたくさんあるほど細かく周波数に分割して制御できます。上下の真ん中がゼロデシベルで素材の音そのまま通過させる値。真ん中から上に振ると「足す」、下に振ると「削る」ことになります。上と下のグループは、ステレオの左チャンネルと右チャンネルです。

画像を見て頂くとお判りになると思いますが、自宅マンションのメインラウンジの場合で「削った音域」は、ツマミが下げられている音域になります。一般的には、ご覧のようにゼロデシベルの真ん中から「下げる」=削る設定が中心になります。

このように「削る」方法で音のバランスを取っていくとあら不思議。無用に音場の特性で響いていた中低域や高域の音が「削られる」ことで、とてもバランスよく耳にやさしい聴きやすい音に変わります。しかも音量を上げていっても、うるささが強調されることなく音の粒が良く揃って心地よく耳に入ってきます。

イコライザー=平均化という意味ですから、このように本来は「不要な音域を削って音を平均化する」機器という意味なのでしょう。でも民生機器では「音を足すこと」に注力が置かれてしまっていて、なんとなく本末転倒になっています。

振り返ると、普段のビジネスも同様のことが言えるのかとも思います。「あれもできる」「これもできてお得」と機能や特徴てんこ盛りの訴求は一見見栄えが良いのですが、衝動買い向け訴求でもない限り持久力の無い方法です。一方、きっちりお客様やパートナーさんのご要求や課題に注目して、数ある訴求点から必要以外のものは「削って」、必要な部分を際立たせていく事。結構これは勇気の必要な行動ですが、結果全体のソリューションのバランスが取れ、受け取る側には心地よくそしてよく響く「音」になっていくのではないでしょうか。

「削る」ことから得られるトータルバランス。心がけていきたいものです。なかなか、このような別の場面での実感が伴わないと、気にすることができないポイントだと感じた次第です。

posted by ハリー伊藤 at 14:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 音響関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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